地域医療連携推進法人

 各都道府県において、地域医療構想の策定をすすめ、医療提供体制の整備を図ることとされているが、その達成のための1つの選択肢として、地域の医療機関相互間の機能の分担・連携を推進し、質の高い医療を効率的に提供するために創設された制度である。もともと、医療施設においては、株式会社の持株会社のような形で法人をグループ化する手段がなく、競合による機能の重複や、スケールメリットが働かない等の指摘があったなか、平成25(2013)年の社会保障制度改革国民会議報告書において、「たとえばホールディングカンパニーの枠組みのような法人間の合併や権利の移転等を速やかに行うことができる道を開くための制度改正を検討する必要がある。」とされたことを契機に、厚生労働省の「医療法人の事業展開等に関する検討会」において、具体的な制度設計に関する議論がなされることとなり、その後、平成27(2015)年の医療法改正により制度が創設され、平成30(2018)年4月2日から施行された。
 仕組みとしては、医療法70において、医療機関の機能の分担および業務の連携を推進するための方針を定め、当該方針に沿って、参加する法人の医療機関の機能の分担および業務の連携を推進することを目的とする一般社団法人を設立し、定款において定める当該連携を推進する区域(医療連携推進区域)の属する都道府県知事が地域医療連携推進法人として認定する流れとなっている。地域医療連携推進法人には介護事業等を実施する非営利法人も参加することができることとし、介護との連携も図りながら、地域医療構想の達成および地域包括ケアシステムの構築に資する役割を果たすものと考えている。
(上村知宏)