地域医療構想

 地域医療構想は、地域にふさわしい効率的かつ効果的な医療提供体制の確保を行うため、地域の医療需要の将来推計や病院機能報告の情報等を活用し、医療機能の分化と連携を推進するためのビジョンのことである。平成26(2014)年に制定された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保推進法)(平成26年法律第83号)において、医療計画の一部として地域医療構想が位置づけられている。策定の背景としては、社会保障費が増大するなか、団塊の世代が75歳になる令和7(2025)年において想定される医療・介護需要の最大化や、高齢者の多様化・地域偏在に対し、医療の機能に見合った資源の効果的かつ効率的な配置を促し、急性期から回復期、慢性期まで患者が状態に見合った病床で、状態にふさわしい、より良質な医療サービスを受けられる体制をつくる必要が生じたことがあげられる。施策の内容としては、2025年における医療需要について構想区域ごとの患者推計を行うとともに、構想区域ごとの在宅医療を含めた医療機能別供給量を算出し、2025年に目指すべき医療提供体制や、実現するための施策を打ち出すこととしており、協議の場として地域医療構想調整会議を構想区域ごとに設置されている。現在は、2040年に迎える65歳以上人口の低下も踏まえた、人口減に伴う医療人材の不足や、医療従事者の働き方改革といった新たな課題への対応も必要となってため、2040年の医療提供体制の展望を見据えた対応を整理し、地域医療構想の実現等だけでなく、医師・医療従事者の働き方改革の推進、実効性のある医師偏在対策、いわゆる三位一体での着実な推進が必要となっている。
(上村知宏)