地域医療計画

 医療計画は、医療法第5章第2節「医療計画(平成18年法律第84号)30の4」で「都道府県は、基本方針に即して、かつ、地域の実情に応じて、当該都道府県における医療提供体制の確保を図るための計画を定めるものとする。」と定められている。これまで、医療計画は医療法第1次改正(昭和60[1985]年)において導入され、第3次医療法改正(平成9[1997]年)において当該制度の充実が図られ、第4次医療法改正(平成12[2000]年)から第5次医療法改正(平成18[2006]年)において制度の見直しが行われた。第5次医療法改正では、4疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)5事業(救急医療、災害医療、へき地医療、小児医療、周産期医療)の具体的な医療連携体制が構築され、地域医療連携を推進することが目指されている。また第5次医療法改正では、医療計画に基準病床数の算定、地域医療支援病院の整備目標、4疾病および5事業の目標・医療連携体制、医療圏の設定、医療連携における医療機能に関する情報提供の推進等の記載が求められた。すなわち急性期から回復期、在宅療養に至るまで、生活習慣病の増加等の疾病構造の変化に対して、地域全体で切れ目のない医療が提供される「地域完結型医療」を推進する計画である。平成23(2011)年医療法改正において、先の医療連携体制は5疾病、5事業となり、「社会保障・税一体改革大綱」に基づき、急性期をはじめとする医療機能の強化、病院・病床機能の役割分担・連携の推進、在宅医療の充実等を内容とする医療サービス提供体制の制度改革となる。
 地域医療計画は、各都道府県が地域の実情に応じて、各都道府県における医療提供体制の確保を図るために策定される。そのなかで医療提供の量(病床数)を管理するとともに、質(医療連携・医療安全)を評価し、医療機能の分化・連携(「医療連携」)を推進することにより、急性期から回復期、在宅療養に至るまで、地域全体で切れ目なく必要な医療が提供される「地域完結型医療」を推進する計画となっている。従って①病床数の量的管理から質(医療連携・医療安全)への評価、②住民・患者にとって分かりやすい、さらに③数値目標を示し評価できる計画としての見直しが行われている。第6次医療法改正(平成26[2014]年)では公立病院改革の地域医療介護総合確保基金が創設され、第7次医療法改正(平成27[2015]年)では、地域医療連携推進法人制度が整備された。
(森美智代)