脱退者持分払戻計算書(中小企業協同組合)

 中協法20に基づき脱退者に対して持分の払戻をする場合において、持分額の計算過程を提示するために作成される計算書のことである。脱退者持分払戻計算書は、中協法施行規則に規定されていないが、中小企業等協同組合会計基準にその計算様式例が示されている。脱退者持分のうち出資金を上回る部分の金額は、平成19(2007)年の中協法の改正前までは剰余金処分案に計上されていたが、当該中協法の改正により、貸借対照表の純資産の部に区分表示されることになった。その結果、脱退者の持分払戻金額については、脱退者持分払戻計算書によって明示することが望ましいとされた。脱退者の持分は、その脱退した事業年度の終了の日における組合財産によって算定される(中協法20Ⅱ)。判例(最判昭和44年12月11日)によれば、組合財産は、時価で評価するべきであると解されている。中小企業等協同組合会計基準の計算様式は、改算式持分計算方法による持分全部を払い戻すことを定款で定めている場合を例としている。持分の払戻について出資額を限度とする定款の場合は、脱退者持分払戻計算書で算出した持分額が、出資金額より多いときは出資全額の払戻しを行い、出資金額より少ないときは、その出資金額より少ない持分額を払い戻すことになる。
(高橋里枝)