立入検査

 行政機関等が非営利組織の現場に立ち入って、事業に係る設備や関係する帳簿書類を検査することである。非営利組織はそれぞれの関連法規の遵守を確認することが制度上義務づけられており、これにより各非営利組織の適正な業務運営を支えている。 非営利組織には、行政庁による監督が各非営利組織制度のガバナンスの仕組みに取り込まれている。非営利組織のなかでも、公益法人制度では、行政庁である内閣府や都道府県知事所管の各部門が公益法人に立入検査のために、おおよそ3年に1回の割合で入るものである。立入検査は、公益法人の事業の適正な運営を確保するために必要な限度において法令で明確に定められた法人として遵守すべき事項に関する法人の事業運営実態を確認するため、法人の本部事務所などに立ち入って、帳簿や施設などの検査を行うものであることが公益認定法27に規定されている。立入検査は、法人から行政庁に提出した各種情報をもとに、現地でなければ確認することが難しい事項を重点的に実施するもので、このうち、法人の運営全般については、理事・監事など法人運営に責任をもつ役員から説明を受けることとされている。また、社会福祉法人制度では、所轄庁が法人に対して、その業務もしくは財産の状況に関して報告をさせ、または当該職員に法人の事務所その他の施設に立ち入り、その業務、財産の状況もしくは、帳簿、書類その他の物件を検査させることができるように社福法56に規定されている。そのほか、学校法人制度では、法人の運営が法令等に違反し、著しく不適正な状況に陥っている場合には、所轄庁は、必要な範囲において、法人に対して、業務・財産の状況について報告を求め、または法人の事務所に立ち入り、検査をすることができると私学法63に規定されている。加えて、医療法人制度においては、都道府県知事等が、病院が関連法令等に定めた人員および構造設備を有し、かつ適切に管理を行っているか否かを検査して、病院を科学的で、かつ、適正な医療を行う場にふさわしいものとすることを目的とする立入検査を行うことが医療法25に規定されている。
(松前江里子)