全員参加のタウンミーティングでタウンの懸案事項を決定する直接民主主義を基盤としつつ、タウンの政府形態は、3世紀の間に立法部・行政部各々に関し変化を遂げ、立方および行政双方を担当する「タウン議会」が置かれる場合もあらわれた。また、タウンの立法部であるタウンミーティングについても、権限や住民の参加形態に変化がみられる。1つは「予算タウンミーティング(BTM:BudgetaryTown Meeting)」で、タウンミーティングの権限を、理事会から提出された予算案の審議議決にかぎり付与するものである。2つは、州法によりタウンミーティングに付与された全権限を、タウンの各地区を代表する公選された有権者のグループ:代表制タウンミーティング(RTM:RepresentativeTownMeeting)に付与するものである。タウンミーティングも、人々の生活様式や価値観の変化に伴い、住民の負担に配慮し、より参加を得られ機能しやすい形態が並存するようになった。日本では、人口減少下での小規模自治体における町村総会制度(自治法94、95)の採否や、市町村合併により広域化した基礎自治体における地域自治組織への住民参加のあり方などが議論されてきた。ICT(Informationand Communication Technology)の飛躍的発展やコロナ禍による生活様式の変容等を背景として、日本の地方自治・地域自治における直接民主制と間接民主制の関係を考察するうえで、タウンミーティングを参照する意義は大きい。
(初谷 勇)