退出障壁

 退出とは、営利企業や非営利組織が自らの事業を精算し、市場から撤退することである。営利企業や非営利組織がその市場からの自らの退出を望ましいと判断する場合でも、その退出を困難にしたり阻止したりする要因が存在する。こうした要因は退出障壁と呼ばれる。Porter, M. E. (ポーター)によれば、退出障壁としてはつぎの6つがあげられる。①転用のきかない耐久資産、②撤退の固定コスト、③撤退から生じる障壁(他の事業との関連性、金融市場への影響、垂直統合)、④情報の障壁(正しい情報が入手できない。)、⑤経営者の感情障壁、⑥政府と社会の障壁(政府が失業と地域社会に与える影響を懸念する。)である。このような退出障壁の一部あるいはすべてが原因となって、営利企業や非営利組織は、事業から正常な成果があげられなくてもその市場にとどまることになる。
(小島廣光)