大規模法人

 大規模法人とは、租特法に定めがあり、一定規模以上の法人のことを示している。たとえば、一定規模として、資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人は、大規模法人の1つとして掲げられている。これについて、非営利組織のなかでも一定規模以上の法人のことを示しており、一般社団・財団法人については、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上である一般社団法人を大規模一般社団法人、一般財団法人を大規模一般財団法人として一般法人法2に規定されている。大規模一般社団・財団法人においては、規模の大きさを重要視して、義務づけされていることが幾つかある。まず、会計監査人および監事の設置義務が一般法人法61、62、171に規定されている。加えて、理事会設置一般社団・財団法人においては、内部管理体制を理事会で決定しなければならないことも義務づけが一般法人法90、197に規定されている。一定規模以上の法人に対して、会計監査人の設置による外部監査を受けることを1つの義務としており、これを大規模法人として定義することの1つの目安と考えると、医療法人制度においても、同様の義務がある。医療法人制度では、貸借対照表の負債の部に計上した額の合計が50億円以上または損益計算書の事業収益の部に計上した額の合計額が70億円以上である医療法人や、貸借対照表の負債の部に計上した額の合計が20億円以上または損益計算書の事業収益の部に計上した額の合計額が10億円以上である社会医療法人を一定規模以上の法人としている。この一定規模以上の法人に対して、会計基準の適用義務、外部監査の実施義務、計算書類等についてインターネット等での公告の義務づけが医療法施行規則33の2に規定されている。また、同様に学校法人制度についても一定規模という概念はあり、私学助成法により1,000万円以上の助成を受けている法人は、公認会計士または監査法人の監査報告書が必要とされている。さらには、一定規模という概念で、社会福祉法人制度においても、貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が60億円を超える法人または経常的な収益の額として計算された金額が30億円を超える法人には、会計監査人の設置義務が社福法37に規定されている。大規模法人については、一般法人法においてのみみられる概念であるが、他の非営利組織においても、大規模法人の規定により義務づけられている事項に関連してほぼ同様の効果を期待されている。
(松前江里子)