損益計算書等の提出制度

 公益法人等に損益計算書または収支計算書の提出を義務づける制度である。原則として事業年度終了の日の翌日から4か月以内に、その主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出する。当該制度は、確定申告を行わない法人であっても、一定の収入を稼得している場合には、その収益性や成長性の指標となる損益計算書の提出を要請するものであるため、収益事業の遂行に基づく法人税申告書の提出法人は、制度の対象から除外されている。また、法人の事務負担能力に配慮して、年間の収入金額が8,000万円以下の法人も対象から除かれている。こうした対象外の法人が存在するものの、本制度は納税義務の有無により生じうる、課税庁からみた法人間の情報格差の是正に寄与する規定であるといえる。なお、公益法人等が提出を要する損益計算書の勘定科目として、基本財産運用益、特定資産運用益、受取入会金等が例示されており、普通法人のそれとの相違がかいまみられる。
(平松智史)