備置き

 法人運営の透明性と適正さを証するため、各法人法令に規定されている情報公開方法の1つである。非営利法人は、情報公開を通じた市民の選択や監視を前提としている。そのため、公開情報は、法人ミッション達成に向けての活動状況、活動成果、活動を持続可能とする基盤(財政的安定度や法人内ガバナンス)など情報利用者の意思決定に資することが必要である。具体的な書類内容は、法人により所轄官庁や適用される会計基準が異なるため法人により違いがある。おもなものは、法人の活動状況の情報として財務報告計算書類(活動計算書・貸借対照表・収支計算書等)、事業報告書類、活動基盤となる法人ガバナンスに関する情報として定款・寄附行為類、財産目録等、役員や社員の名簿類、機関議事録類等である。電磁的記録で作成された場合も書面出力できる閲覧環境整備に鑑み、紙記録での備置きが望まれる傾向にある。法人により閲覧請求対象者に制限があり、名簿の住所等は個人情報保護の配慮も必要である。備置き期間は、書類により異なるが、主たる事務所におおむね5年間から10年間である。公開情報の充実のために各法人法改正に併せて備置き書類も変化していくと考えられる。たとえば、学校法人の備置き書類は、財産目録、貸借対照表(注記と各明細表含む。)、収支計算書(活動区分資金収支計算書と各内訳表、事業活動収支計算書と内訳表含む。)、事業報告書(法人概要、事業概要、財務概要等要記載)、役員等名簿、監査報告書および役員報酬等の支給基準書、寄附行為、議事録等(私学法33の2、66、47の2、48、63の2)である。
(棚橋雅世)