措置費(社会福祉法人)

 各法律に基づき都道府県および市町村が運用する社会福祉施設における福祉の措置に要する経費であり、運営費ともいう。国および地方自治体から支払われる。措置費の支弁対象施設は、生活保護法による保護施設、身体障害者福祉法による身体障害者社会参加支援施設、老人福祉法による老人福祉施設、売春防止法(昭和31年法律第118号)による婦人保護施設、児童福祉法による児童福祉施設、児童自立生活援助事業を行うための施設および小規模住居型自動養育事業を行うための施設である。使途範囲は「社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について」(平成16年3月12日付け雇児発第0312001号・社援発第0312001号・老発第0312001号、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連盟通知)等の定めによる。人件費は、給与、賃金等施設運営における職員の処遇に必要な経費に支出されるもの、管理費は、物件費・旅費等施設の運営に必要な経費に支出されるもの、事業費は、入所者の処遇に必要な一切の経費に支出されるものである。しかし、これらの各区分にかかわらず、当該施設における人件費、管理費または事業費に充当できる。運営費は、長期的に安定した経営を確保するため将来発生が見込まれる経費として、使用計画を作成のうえ、人件費積立金、施設整備等積立金として積み立て、次年度以降の当該施設の経費に充当することができる。運営費は、民間施設給与等改善費として加算された額に相当する額を限度として、同一法人が運営する社会福祉施設等の整備等に係る経費として借り入れた独立行政法人福祉医療機構等からの借入金の償還金およびその利息に充てることができる。また、前期末支払資金残高については、あらかじめ理事会の承認をえたうえで、当該施設の人件費、光熱水料等通常経費の不足分を補塡できるほか、当該施設の運営に支障が生じない範囲において以下の経費に充当することができる。翌年度に前期末支払資金残高として取り扱うことができる当期末支払資金残高は、措置費の適正な執行により適正な施設運営が確保されたうえで、長期的に安定した経営を確保するために将来発生が見込まれる経費を計画的に積み立てた結果において保有するものであり、過大な保有を防止する観点から、当該年度の運営費(措置費)収入の30%以下の保有とすることが定められている。措置費は、利用者の処遇に必要な経費として本来の福祉サービスの目的を達成するため、当該年度の経費として交付されるため、原則として他の目的に使用することは禁じられていた。しかし、介護保険の導入により介護報酬は契約によるサービスの提供という性格づけがなされたため、規制緩和の流れのなかで近年は使途の弾力化がすすめられている。
(石田万由里)