組織有効性

 近代管理論あるいはバーナード=サイモン理論と呼ばれるBarnard, C. I.( バーナード)の理論においては、人々は公式組織を中核とする協働システムによって物事を達成しようとし、その組織には共通目的(組織目的)、協働意志(貢献意欲)、コミュニケーションの3つの要素があるとする。組織が存続するためには、組織に参加してその目的の達成に貢献しようとする個人の意欲が不可欠であり、それには組織が個人に対して提供が期待される誘因と釣り合っていなければならない。この組織均衡をもたらす個人の貢献に釣り合う誘因の満足の基準が能率(efficiency)であり、組織全体の目的達成の基準が有効性(effectiveness)と定義される。その後の組織論においては、組織有効性は、外部環境の要素、組織内部の要素、組織の成果との相関関係のなかで捉えられるようになり、環境が異なれば有効な組織の構造やスタイルも異なるというコンティンジェンシー理論が台頭した。しかし、組織の目的自体が企業のように単純化できない非営利組織においては、組織有効性も多様な解釈や尺度がありうる。そのため、その非営利組織のミッションからみて組織の態勢や事業がどれだけ有効であるかが問われるべきであるにもかかわらず、その測定が難しいために企業と同じ尺度を採用したり、測定しやすい尺度だけで業績や有効性を判断するということが起こりがちとなる。
(吉田忠彦)