ソーシャルワーク

 ソーシャルワークという用語は、日本の法制度上の定義はない。ソーシャルワークを実践するものを、一般的にソーシャルワーカーと呼ぶ。日本ではソーシャルワーカーの国家資格として社会福祉士がある。ソーシャルワーカーの国際組織であるIFSW(InternationalFederation of Social Workers;国際ソーシャルワーカー連盟)では、ソーシャルワークのグローバル定義として「ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワーメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学、および地域・民族固有の知を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける。この定義は、各国および世界の各地域で展開してもよい。」としている。ソーシャルワークの目的は、自己実現と幸福の追求であり、ウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること)を高められるよう人々にかかわり、さまざまな構造に働きかける。具体的には、問題を抱えている個人のみを対象とするものではなく、人々が生活している「社会の変革」をも促し、エンパワーメントの考え方のなかで当事者は強さをもっており、当事者自らが問題を解決していけるように支援することである。その実践は人の生活状況を重視し、問題を個人だけではなく周りとの関係のなかで捉え支援することがソーシャルワークの特性である。
(小口将典)