設備等整備積立金(社会福祉法人)

 純資産の「その他の積立金」である。「その他の積立金」とは、法人が将来の特定の目的の費用または損失に備えるため、事業活動計算書の当期末繰越活動増減差額にその他の積立金取崩額を加算した額に余剰が生じた場合に、その範囲内で理事会の議決に基づき積み立てる積立金である。積立金を積み立てる際は、積立ての目的を示す名称を付すとともに、同額の積立資産(現金預金等)を積み立てる。また、積立金に対応する積立資産を取り崩す場合には、当該積立金を同額取り崩す(社会福祉法人会計基準)。設備等整備積立金は、法人が将来の設備等の整備を目的として積み立てるもので、事業種別ごとに所轄庁からその使途、積立要件、限度額等の定めがある場合がある。就労支援事業の設備等整備積立金は、就労支援事業を安定的かつ円滑に継続するため、就労支援事業に要する設備等の更新、または新たな業種への展開を行うための設備等の導入のための資金需要に対応するため、当該年度の利用者賃金および利用者工賃の支払額が、前年度の利用者賃金および利用者工賃の支払実績額を下回らないことを積立要件とし、就労支援事業収入の10%以内を各事業年度に積み立てることができる。また、積立額の上限額は、就労支援事業資産の取得価額の75%以内となっている。その他の目的のための支出への流用は認められない。その他に保育所の保育所施設・設備整備積立金(保育所経理等通知)や措置費支弁対象施設の施設整備等積立金(措置施設局長通知)、授産事業の備品等購入積立金(会計基準課長通知)、介護保険事業および障害福祉サービス事業等の施設整備等積立金などに所轄庁から名称・要件等につき定めがある。いずれの場合も積立金を積立目的以外に使用する場合は、内部統制上、事前に理事会においてその使用目的、取り崩す金額、時期等を十分審査のうえ、その承認をえて取り崩す必要がある。
(石田晴美)