責任準備金(漁業協同組合)

 共済事業を行う漁業協同組合・水産加工業協同組合および共済水産業協同組合連合会が、毎事業年度末において、共済契約に基づく将来における債務の履行に備えるため積立てを義務づけられている準備金である(水協法15の10Ⅰ、96Ⅰ、100の8Ⅰ)。責任準備金は、共済掛金積立金、未経過共済掛金、異常危険準備の区分に応じ、当該事業年度以前に収入した共済掛金に基づいて積み立てる必要がある(水協法施行規則58)。共済掛金積立金については共済契約に基づく将来の債務の履行に備えるため、共済の数理に基づいた金額を積み立てるが、特別勘定を設けた共済契約に係る共済掛金積立金については、当該特別勘定における収支の残高を積み立てなければならず、それ以外の共済契約に係る共済掛金積立金については、契約に基づく将来の債務履行に備えるための資金を全共済金払込期間にわたり平準化した額を下回ることはできない。また、未経過共済掛金については共済契約または共済掛金の特性により、①未経過期間に対応する責任に相当する額、または、②当該事業年度において、経過期間の収入共済掛金の合計額から、当該共済掛金を収入した共済契約のために経過期間において支払った共済金および返戻金ならびに支払備金の額の合計額を差し引いた額のいずれかの方法により計算した金額を積み立てる。ここで、未経過期間とは、共済契約に定めた共済期間のうち、事業年度末において、まだ経過していない期間をいい、経過期間とは、共済契約の契約日またはその年応当日以後の期間をいう。さらに、異常危険準備金については、共済契約に基づく将来の債務を確実に履行するため、将来発生が見込まれる危険に備えて計算した金額を積み立てるが、①共済リスクに備える異常危険準備金と②予定利率リスクに備える異常危険準備金に区分して積み立てなければならない。なお、保険会社に再保険を付した部分に相当する責任準備金は、当該相当金額を貸借対照表で注記し、積み立てないことができる(水協法施行規則59、142Ⅲ②ハ⑴)。
(田口安克)