成年後見制度

 認知症・知的障害・精神障害等により判断能力が不十分なために、法律行為における意思決定が不十分または困難な者に、その判断力を補い保護するための制度をいう。法定後見制度と任意後見制度から成り立っている。法定後制度は、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーションの理念のもとに従来の禁治産・準禁治産制度が平成11(1999)年の民法改正によって改められたものである。対象者の判断能力に応じて、(判断能力低下の重い順に)後見・補佐・補助があり、判断能力低下が重いほどに幅広く法律行為の代理権が後見人に与えられる。一方で任意後見制度は、認知症などによる判断能力が低下する前に後見人の選任や後見に関する内容を被後見人本人が決定するものである。
(小口将典)