制度の狭間

 公的福祉サービスでは対象とならない福祉ニーズ・生活課題が生じている状態のことをいう。「我が国の公的な福祉サービスは、高齢者・障害者・子どもといった対象者ごとに、典型的と考えられるニーズに対して専門的なサービスを提供することで、福祉施策の充実・発展に寄与してきた。しかし各制度については成熟化が進むとともに、人口減少、家族・地域社会の変容などにより、既存の縦割りの制度では対象にならない生活課題への対応や複合的な課題を抱える世帯への対応など、ニーズの多様化・複雑化に伴って対応が困難なケースが浮き彫りになって」(「我が事・丸ごと」『地域共生社会実現本部について[平成28年7月15日]』)おり、こうした公的福祉サービスで対象とならないニーズ(制度の狭間)に対して、「福祉は与えるもの、与えられるものといったように、「支え手側」と「受け手側」に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割をもち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し、公的な福祉サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる「地域共生社会」を実現する」(同前)ことが今後求められていくとされる。
(千葉正展)