清算

 法人を消滅させることであり、また、その手続きを指す。法人が解散をした場合、または、設立の無効・取消しの訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合に開始される。解散の場合の清算の手続きとしては、解散の登記を行うことから始まり、その後、①現務の結了、②債権の取立ておよび債務の弁済、③残余財産の引渡しとすすみ、清算人がこれを遂行する。残余財産を確定するためには債権の取立てと債務の弁済が不可欠であり、債務の弁済に関連する手続きとして債権申出の公告、催告を行う必要がある。残余財産の引渡しに関しては、定款や寄附行為等において定めるところによって、その帰属すべき者に引き渡されるが、その定めがない場合には、所定の手続きのもと、その財産の処分、譲渡が認められる例(一般社団・財団法人、宗教法人、特定非営利活動法人など)がある。なお、残余財産について法人自らが処分、譲渡しない場合には、例外なく国庫に帰属するものとされている。清算中の法人は、清算の目的の範囲内において清算が結了するまではなお存続するものとみなされるので、各根拠法においては、各清算事務年度に係る貸借対照表等(貸借対照表および事務報告ならびにこれらの附属明細書)の作成、保存のほか、貸借対照表等の監査、備置きおよび閲覧、法人の各機関に対する提出、提供に係る規定が置かれている。また、清算期間中も法人税の課税(収益事業課税)は行われる。清算事務の終了に関しては、根拠法上、清算結了の登記が求められ、その後、所轄庁あるいは行政庁に対して清算結了に関する届出が必要となる。法人類型ごとに特有の点としては、一般法人法および社福法においては、解散日における財産目録および貸借対照表を作成し、その後、清算結了の登記の時まで保存することが求められ、さらに、帳簿資料(清算法人の帳簿ならびにその事業および清算に関する重要な資料)を清算結了の登記の時から10年間保存することが求められている。また、清算法人における機関として清算人会または監事を置くことができるものとされている。
(上松公雄)