ストック式正味財産増減計算書

 昭和60(1985)年9月17日公益法人指導監督連絡会議決定として公表された改正公益法人会計基準(昭和60年改正基準)第5に記載された「資産及び負債の各科目別に増加額及び減少額を記載して当期正味財産増加額(減少額)を求め、これに前期繰越正味財産額を加算して期末正味財産額を表示したもの」をいう。標準様式は、昭和60年改正基準様式3-1に示されている。昭和60年改正基準はフロー式正味財産増減計算書と呼ばれる「当期正味財産増加額(減少額)の発生原因を示す方法」の適用も認めている。「資産及び負債の各科目別に増加額及び減少額を記載する方法」はフロー式に対してストック式正味財産増減計算書と呼ばれた。昭和60年改正基準は計算書類として収支計算書、正味財産増減計算書、貸借対照表および財産目録の作成を要請したが、ストック式正味財産増減計算書は金銭および短期金銭債権債務の発生原因を示す収支計算書と貸借対照表を繋ぐ連結環としての意味を有するものとしての性質が強い。なお、昭和60年改正基準は第8計算書類の注記で、フロー式正味財産増減計算書を採用する場合には、ストック式正味財産増減計算書の内容の注記を求めたため、実務において採用されることは少なかった。
(江田 寛)