ステークホルダー

 組織の方向性、資源、アウトプットについて主張を述べることができ、またはそのアウトプットに影響を及ぼされるあらゆる人、グループあるいは組織である。ステークホルダーの例として、会員、理事、職員、ボランティア、サービスの利用者・提供先、寄付者、契約先、関連行政機関、規制監督当局、地域住民や地域の諸団体があり、将来世代を含む場合もある。非営利組織は、広範なステークホルダーに対応する必要があり、またその関係は複雑である。ステークホルダー理論は、1970年代以降の、特にアメリカ経営学の各研究領域において採用されながら、大きく発展してきた。主要な理論として、ステークホルダー・マネジメントを戦略マネジメントのなかで営利組織経営の重要な成功要因として位置づけたFreeman, R. E.( フリーマン)(1984)がある。非営利組織の経営学におけるステークホルダーは、営利組織における理論を融合する形で発展してきた。非営利組織のステークホルダーの経営への組み込みは、「最も有効な組織戦略とは、その環境にもっとも適合する戦略である」ことを前提とする戦略マネジメントの枠組みにおいて論じられてきた。戦略マネジメントは、外部環境のコンテクスト内における組織を分析する。そのため環境分析の際に、その環境を形成する組織のステークホルダー分析が必要不可欠となる。ステークホルダー分析は、組織のステークホルダーの同定、ステークホルダーが組織のパフォーマンスを評価する基準の理解、その基準を組織がどの程度満たしているかの同定などから成る。ステークホルダー分析は、戦略的行動のためのアイデアの創出、戦略提案の開発・検討・選択に向けた有効な連携の構築、戦略の実行、モニタリング、評価といった戦略マネジメントのプロセス全般にわたって有効に活用できる。
(島岡未来子)