身体拘束

 患者本人の生命保護や自他への重大な身体損傷等を防ぐために、拘束用具等を用いて患者の体幹や四肢を固定することをはじめとする患者への行動制限を指す。厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」(平成13[2001]年)では、ベッドや車椅子などに身体を固定する抑制以外にも、ベッドを柵で囲む、手指の機能を制限するミトン型の手袋等の装着、向精神薬の過剰投与、居室への隔離等も介護保険指定基準において禁止の対象となる「身体拘束その他入所者(利用者)の行動を制限する行為」とされている。ただし、当基準上、「緊急やむを得ない場合」として、①切迫性、②非代替性、③一時性の3要件を満たす場合にかぎり許容されうるとし、身体拘束三原則と呼ばれている。診療報酬でも身体拘束への取り組みを重視し、平成28(2016)年改定で新設された「認知症ケア加算」では身体拘束を行った日は、4割の減算が定められ、介護報酬でも平成30(2018)年改定により、「身体拘束廃止未実施減算」が設けられ、身体拘束適正化の強化が図られている。
(李 庸吉)