私立学校振興助成法

 私立学校の振興助成に関する法律であり、私立学校が行政機関の財政援助についての法的保障のもと、私立学校における教育条件の維持向上や学校法人が行う経営の健全性の確保などを目指すものである。なお、私学法では、国または地方公共団体は、教育の振興上必要があると認める場合には、学校法人に対し、私立学校教育に関して必要な助成をすることができると規定されている(私学法59)。私立学校復興助成法(私学助成法)の目的は「学校教育における私立学校の果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体が行う私立学校に対する助成の措置について規定することにより、私立学校の教育条件の維持及び向上並びに私立学校に在学する幼児、児童、生徒又は学生に係る修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立学校の経営の健全性を高め、もって私立学校の健全な発達に資すること」とされており(私学助成法1)、学校法人の責務、私立大学および私立高等専門学校の経常的経費についての補助、学校法人が行う学資の貸与の事業についての助成などについて規定する。同法でいう「学校」とは、学校教育法1に規定する学校および就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律2Ⅶ(平成18年法律第77号)に規定する幼保連携型認定こども園を指している(同法2Ⅰ)。同法は、私学振興助成についての国の基本的姿勢と財政援助の基本的方向を明らかにしたものであり、私立学校が国の財政援助についての法的保障のもとに教育条件の維持向上などの努力ができるようになった根拠になっている。また、補助金がより適正かつ有効に使用されることを担保するものである。これにより、私立大学等経常費補助金や、昭和50(1975)年度に創設された私立高等学校等経常費助成費補助金の法的根拠が整備され、また学校法人に対する税制上の優遇措置など私学振興施策の充実が図られることになった。同法は、学校法人の責務として、財政基盤の強化や、児童・生徒等における修学上の経済的負担の適正化、設置校の教育水準の向上をあげている。これは、私学助成が実施される前提として、学校法人の設置校における教育の質的向上や改善が適切に行われていること、児童・生徒等における修学上の経済的負担に対して適切な配慮がなされていること、私立学校を運営する学校法人の財政的な裏付けが盤石であることを求めるものである。多額の公費が私学助成によって私立学校に投下されることの成果として、教育水準の向上や建学の精神を生かした特色ある学校づくりの実現、学校経営の健全な財政運営の維持ならびに効率的な事業運営に寄与することが期待される。この結果、私学助成が公共性をもつ私立学校の振興を通じて果たす社会的意義は非常に大きい。
(岩崎保道)