利用分量割戻金は組合員の1年間の生協利用に応じて還元される。この場合、事業別に割戻率を決めておくことができる(同法52Ⅲ)。出資配当金は、組合員が生協に出資している金額に対する配当金である。ただし出資配当金は、法の規定により年1割を超えてはならない(同法52Ⅳ)。他方、共済事業を行う生協では、契約者割り戻しを行うことができる(同法50Ⅹ)。これは、共済契約者に対し、共済掛金および共済掛金として収受する金銭を運用してえられる収益のうち、共済金等の支払い、事業費の支出その他の費用に充てられないものの全部または一部を分配することである。いい換えれば運用益の契約者への分配である。契約者割り戻しは、中小企業協同組合や信用金庫、労働金庫等における「剰余金の配当」に該当する事業分量配当金や出資配当などとは異なり、「割り戻し」と位置づけられている点が特徴である。なお、契約者割り戻しを行う場合には契約者割り戻しに充てるために契約者割戻準備金の積み立てが強制される(生協法施行規則189Ⅱ)。
(大原昌明)