剰余金の割り戻し(生協)

 生協における剰余金とは、生協が事業を通して生み出した利益である。当期の総収益から総費用を差し引いた剰余金を当期剰余金という。当期剰余金と期首の繰越剰余金を加算した金額が当期未処分剰余金である。この当期未処分剰余金が総代会に提出される剰余金処分案に引き継がれる。剰余金処分案は、当期未処分剰余金または当期未処理損失金、任意積立金取崩額、剰余金処分額、次期繰越剰余金に区分表示する(生協法施行規則105)。剰余金の処分案は、法定準備金・任意積立金等、内部留保される部分と、組合員に還元される部分(外部流出部分)によって構成される。剰余金の割り戻しとは、剰余金処分のうち組合員に還元される金額(割戻金)を指す。割戻金は生協法では、組合員の組合事業の利用分量に応じる場合(利用分量割戻金)と払い込んだ出資額に応じる場合(出資配当金)の2種類に限定している(生協法52)。
 利用分量割戻金は組合員の1年間の生協利用に応じて還元される。この場合、事業別に割戻率を決めておくことができる(同法52Ⅲ)。出資配当金は、組合員が生協に出資している金額に対する配当金である。ただし出資配当金は、法の規定により年1割を超えてはならない(同法52Ⅳ)。他方、共済事業を行う生協では、契約者割り戻しを行うことができる(同法50Ⅹ)。これは、共済契約者に対し、共済掛金および共済掛金として収受する金銭を運用してえられる収益のうち、共済金等の支払い、事業費の支出その他の費用に充てられないものの全部または一部を分配することである。いい換えれば運用益の契約者への分配である。契約者割り戻しは、中小企業協同組合や信用金庫、労働金庫等における「剰余金の配当」に該当する事業分量配当金や出資配当などとは異なり、「割り戻し」と位置づけられている点が特徴である。なお、契約者割り戻しを行う場合には契約者割り戻しに充てるために契約者割戻準備金の積み立てが強制される(生協法施行規則189Ⅱ)。
(大原昌明)