剰余金の配当(信用金庫)

 信用金庫の剰余金の配当は、事業年度最終日の純資産額から、法律で定められた以下の金額、出資の額(信金法57Ⅰ①)、利益準備金の額(同法57Ⅰ②)、当該事業年度に積み立てるべき準備金の額(同法57Ⅰ③)、内閣府令で定める額(同法57Ⅰ④)を控除後の金額を限度として行うことができる。また、剰余金の配当額は、定款の定めるところにより、会員の金庫の事業の利用分量または出資額に応じて行い(同法57Ⅱ)、また出資額に応じて行う剰余金の最高配当の率は、定款でその限度を定める(同法57Ⅲ)。信用金庫は、営利を目的とせず会員を構成員とする協同組織金融機関で、相互扶助の精神で地域経済社会に貢献することを最大の理念としている。その純資産は、現在から将来にわたって、会員に対して安定的に金融サービスを提供する財産的基礎として活用することを求められており、上記のとおり剰余金の配当について金額の限度、率が法令および定款で制限されている。同じ地域金融機関でも、協同組織金融機関である信用金庫と、株主の金銭的利益達成のため出資配当の最大化を求められる株式会社組織の金融機関とは大きく異なるところである。
(境 裕治)