消費税の特例

 消費税は、①国内において、②事業者が事業として、③対価をえて行う、④資産の譲渡等の4要件を満たす国内取引と輸入取引を課税対象としているが、公益法人等については、その納税義務を特別に免除する規定がないことから、基準期間における課税売上高が1,000万円を超える場合には、営利法人と同様に消費税の課税事業者となる。課税対象は、法人税法上の収益事業に該当するか否かに関係なく、営利法人と同じ基準で判断する。しかし、公益法人等は、①特定収入に係る仕入は売上との対価性がないこと、②公益法人等は最終消費者であること、③特例を適用しないと恒常的還付になる可能性があることなど、営利法人に比べて特殊性があることから、消費税法上で特例措置が設けられている。公益法人等の特例には、①資産の譲渡等の時期の特例、②課税期間の特例、③確定申告期限の特例、④特定収入に係る仕入税額控除の特例、⑤特定収入に係る帳簿の記載事項の特例がある。公益法人等は、市場原理が成り立たない公共性のある事業を行っていることが多く、租税、補助金、会費、寄附金等の特定収入を恒常的な財源としており、これらの財源を基礎として課税仕入等を行っている。公益法人等が特定収入(補助金等)をえて、その資金で仕入をした場合、その仕入の対価として収入がえられたわけではないので、特定収入のコストを構成せず、対価性があるとはいえない。従って、仕入税額控除については調整を行い、特定収入を原資とする課税仕入等に係る税額を、仕入税額控除の対象から除外している。特定収入とは、資産の譲渡等の対価以外の収入(租税、補助金、交付金、寄附金等)から、非特定収入を除いたものである。非特定収入とは、特定収入に該当しない収入(借入金、出資金、預貯金、貸付回収金、返還金および還付金)および特定支出にのみ使用される収入(利子補給金、土地購入補助金、人件費補給金等)である。
(藤川晴基)