使用人兼務理事

 理事が使用人を兼ねることをいう。ここでいう使用人とは、法人との間に労働契約書等を結ぶ雇用関係にある者をいうが、特に部長や課長など職制上の地位を有するものであると考えられるため、非営利法人においては、事務局長や経理部長などの職制上使用人としての地位を有し、かつ、その業務を行う理事になる。また、法人税法においては、使用人兼務役員の報酬のうち、使用人部分の不相当に高額でない金額は損金に算入されるとしているが、代表理事や清算人、専務・常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員は、使用人兼務役員にはなれない。そのため使用人分給与も役員報酬とされ、役員報酬の損金不算入の規定が適用される。これは代表権などをもつ理事などが役員報酬の損金不算入規定を逃れるため、部長や課長など使用人とすることによる租税回避を防ぐものである。法人が法人税法上の収益事業を行い、役員報酬がある場合は税額に影響を及ぼす可能性があるが、法人税法上の規定は、非営利法人の実際の業務の範囲を制限するものではない。
(船山 奨)