準市場

 医療、福祉、教育などの公共サービスの供給に、部分的に市場(競争)原理を取り入れた状態を指す。規制を緩和して営利企業の参入を認めて市場開放したり、それらのサービスを提供する事業体を株式会社などに転換して完全民営化したりすると、それは市場化ということになる。また、たとえば使用目的を特定の公共サービスに限定したクーポンを利用者に直接支給し、その範囲内で利用者が選択することを可能にすれば(バウチャー制度)、部分的に競争を導入することができる。しかし、従来のような公共サービスを行政による強制という仕組みで供給することは、効率へのインセンティブが働かない。ほとんどの先進国において、少子高齢化の進展などによって、公共サービスへの需要が拡大する一方で財源は細るという趨勢が不可避となっており、公共サービスを維持していくためには準市場化は重要な手段となっている。
(吉田忠彦)