地方自治の分権的側面を団体自治が、民主主義的側面を住民自治が理念として示している。今日では住民は、公共的意思決定主体として地方自治体の政策決定過程に政治参加するとともに、住民(市民)協働(PPP[PublicPrivate Partnership]の一種)を通じて、公共サービスの提供主体としても地方自治体の政策執行過程に広く参加している(公務住民)。NPOは、住民が地方自治体の運営に主体的に参加・参画する際、その公共的関心や公共的意思の表明、意見交換、経験交流等を喚起し、自発的な参集を促し、参加行動に導いたり、それ自体が参加推進主体、乗りもの(ヴィークル)としても機能する。今日、住民(市民)概念は拡張傾向にあり、当該自治体の区域に住所を有する者にかぎらず、通勤・通学者や域外からの活動来訪者など多様な「関係人口」が住民に含めて考えられている。NPOは、こうした必ずしも地縁に限定されない住民の参加組織としても、「住民自治」に積極的な役割を果たしている。
(初谷 勇)