終末期医療

 「終末期」とは「予後が数日から23か月と予測ができる場合や、慢性疾患の急性増悪を繰り返し予後不良に陥る場合、脳血管疾患の後遺症や老衰など数か月から数年にかけ死を迎える場合」などがあり、「どのような状態が終末期かは、患者の状態を踏まえて、医療・ケアチームの適切かつ妥当な判断によるべき事柄」である。終末期医療は、治療によって疾病を治すことが不可能な度合いまで到達し、その死が遠からず予感されうる人々に対する医療をいう。終末期を経て死に至る人は95%、急病や事故、災害で急死する5%の人はこの対象にならない。ガイドラインでは、終末期医療およびケアのあり方として、①医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話し合いを行い、患者本人による決定を基本としたうえで、終末期医療をすすめることがもっとも重要な原則である。②終末期医療における医療行為の開始・不開始、医療内容の変更、医療行為の中止等は、多専門職種の医療従事者から構成される医療・ケアチームにより、医学的妥当性と適切性をもとに慎重に判断するべきである。③医療・ケアチームにより可能なかぎり疼痛やその他の不快な症状を十分に緩和し、患者・家族の精神的・社会的援助も含めた総合的な医療およびケアを行うことである。
 ターミナルケアとは、死を目前にした人のQOL(Quality of Life)の向上を目指すケアである。終末期(ターミナル)の「医療・看護および介護(ケア)」であり、老衰や病気、障害などの理由により終末期を迎えた人が、少しでも穏やかに過ごせるように、身体的、精神的にも負担のないケアが行われる。すべての苦痛を緩和することが第1目的で痛みを伴う治療や延命措置は基本的に行わない。ターミナルケアと混同されることが多い緩和ケアは、がんと診断されたときから治療と同時にはじめられるケアで終末期にかぎられたものではない。緩和ケアという大きな概念があり、その一部にターミナルケアがあるというイメージを示す。
(加藤友野)