集合財

 組織内でいったん供給されると、その成員による利用を排除することができないという、非排除性の性質をもった財やサービスのことである。たとえば、消防団による防災活動や、商店街で行われるまちづくり活動などは、それらの活動に参加しない地域住民もその便益を享受することができる。このように集合財は、費用を負担することなく利用することができるため、フリーライダー(ただ乗り)が生じて、過少供給に陥ってしまうという市場の失敗が発生する。また、集合財のうち社会生活に必要不可欠であり、国民に対して広く安定的に提供しなければならない財やサービスは、公共財として政府が供給すべきであるが、個人や地域のニーズが多様化するに従って、予算の制約や公平性の観点から政府が対応できなくなるという政府の失敗が発生する。そのため、多種多様な集合財を供給する主体として、非営利組織の役割が期待されているのである。ただし、受益者が十分な費用を負担しない集合財を提供し続けるためには、寄付金や補助金などを集めて不足財源を補塡したり、ボランティアや無償・低償で財・サービスを受け入れて現金支出を抑えたりする必要がある。そのため、非営利組織が集合財を供給しようとするときには、資源不足によって十分な質や量が確保できないというボランタリーの失敗が起こりうる。
(馬場英朗)