宗教法人会計の指針

 日本公認会計士協会が、平成7(1995)年12月の宗教法人法の改正を受けて作成したものであり、平成13(2001)年5月に宗教法人の会計実務の参考に供するために公表したものである。「宗教法人会計の指針」(指針)は、宗教法人法が財産目録等の具体的な作成方法や会計処理の方法について、それぞれの宗教法人の自主性・自律性にゆだねていることに鑑みつつも、「宗教法人が自らの会計に係る情報を充実させ、本来の活動や事業の運営に役立てることは、宗教法人の社会性を確保する上で必要かつ重要なことである。」との認識のもとに、日本公認会計士協会が「現下の制約に捕らわれず、将来に向けて、宗教法人における会計処理及び計算書類作成の指針を提案」したものとなっている。指針は「前文」、「指針(本文)」、「計算書類の様式」、「解説」の4部構成となっている。宗教法人会計の目的を「宗教法人の正確な収支及び財産の状況を把握することにより、宗教法人の健全な運営と財産維持に資すること」(第1、1)にあるとし、宗教法人の作成すべき計算書類を、①収支計算書、②正味財産増減計算書、③貸借対照表および④財産目録としている。指針(本文)の構成は、「第1 総則」、「第2 一般原則」、「第3 収支計算書」、「第4 正味財産増減計算書」、「第5 貸借対照表」、「第6 財産目録」となっている。一般原則では、真実性の原則、正規の簿記の原則、明瞭性の原則、継続性の原則の4つが掲げられている。指針は宗教法人の活動計画に基づき作成される予算を前提として作成されており、総則には予算についての言及があり、収支計算書の表示方法は収入および支出の予算額と決算額を対比して表示することが定められている。なお指針の計算書類の体系は、昭和60(1985)年公表の公益法人会計基準に準じたものであり、予算準拠主義に立脚した収支計算中心の計算構造となっている。
(尾上選哉)