社団医療法人

 医療法人とは①病院、②医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所または介護老人保健施設の開設を目的として医療法の規定に基づき設立される法人である。その医療法人のもっとも基本的な区分として、「社団たる医療法人」(社団医療法人)と「財団たる医療法人」(財団医療法人)の2つがある。厚生労働省の調べによると、平成30(2018)年3月末時点において医療法人総数53,944のうち、社団医療法人数は53,575、財団医療法人数は369となっており、全体の約99.3%を社団医療法人が占めている。さらに、社団医療法人は出資持分の有無という観点から「出資持分のある医療法人」と「出資持分のない医療法人」に区分することができる。出資持分のある医療法人は平成19(2007)年施行の第5次医療法改正により、平成19年4月1日以降の新規設立はできなくなり、既存の出資持分のある医療法人は「経過措置医療法人」として、出資持分のない医療法人への移行がすすめられている。出資持分のない医療法人には医療法を根拠とする「社会医療法人」、租税特別措置法を根拠とする「特定医療法人」、第5次医療法改正で新設された「基金拠出型医療法人」等がある。社団医療法人の基本的なガバナンスの仕組みは、株式会社に類似しており、構成員である社員が1人1個の議決権をもって、最高意思決定機関である社員総会において議決権を行使する。設置が義務づけられているのは役員として理事が原則3人以上、監事1人以上となっている(医療法46の2Ⅰ)。理事のうち1人を原則、理事の互選によって理事長に選出、理事長はその業務を総理する。監事は業務・財産状況の監査等を行う(医療法46の4Ⅶ)。なお、社団医療法人が作成しなければならない書類とは、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書その他厚生労働省令で定める書類である(医療法51Ⅰ)。
(梅田勝利)