社会福祉法人会計基準・運用指針(社福)

 社会福祉法人(社福)による事業が、社会的なニーズに合うように行われているかどうかを把握するためには、提供される福祉サービスの質や事業経営の透明性について確実にモニタリングを行う必要がある。社福外部のステークホルダーが、社福の経営・財務状況を把握し、適切な意思決定を行うための情報環境を整備するために設けられたのが、社会福祉法人会計基準(社福会計基準)である。社福会計基準は、「会計基準省令」(省令)と、一般に公正妥当と認められる社福会計の慣行を記載した通知(「運用上の取扱い」、「運用上の留意事項」)によって構成される。「運用上の取扱い」では、省令の解説ならびに附属明細書および財産目録の様式が規定されており、「運用上の留意事項」では、省令および「運用上の取扱い」では定められていない一般に公正妥当と認められる社福の会計の慣行や各勘定科目が説明されている。社福会計基準は平成24(2012)年4月1日から適用されているが、数度の改正を経ており、現行基準は令和元(2019)年5月7日に施行されている。社福会計基準が施行される前は、さまざまな基準や指導指針、準則などが混在しており、それぞれの規定のもとでの財務諸表の作成が容認されていたが、同一法人のなかでさまざまな会計ルールが併存していたことによる事務処理の煩雑さが多々指摘されていた。また、従来の会計単位は社福の施設単位であり、社福の法人全体としての経営・財務状況の把握が難しい場合もあった。社福会計基準には、それらの問題点を克服し、今後ますます重要になる福祉サービスの提供元となる社福の経営・財務状況の透明性について、外部のステークホルダーがより明確に把握できるような役割が期待されている。
(高橋史郎)