社会福祉充実残額(社会福祉法人)

 社会福祉法人の保有財産(活用可能な財産)が事業継続に必要な財産(控除財産)を超える額を社会福祉充実残額(再投下対象財産、社会福祉充実財産)という。これは、法人の再投資可能な余裕資金を示す。社福法は、法人が保有する財産の使途等につき説明責任を明確に果たすとともに社会福祉事業等の計画的な再投資を促すため、法人に毎会計年度、社会福祉充実残額を算定させるとともに、社会福祉充実残額がある場合に社会福祉充実計画の策定を義務づけている(社福法55の2Ⅰ)。社会福祉充実残額はつぎのように計算する。社会福祉充実残額=①活用可能な財産(資産-負債-基本金-国庫補助金等特別積立金)-②控除財産(つぎの3つの合計:ⅰ社会福祉法に基づく事業に活用している不動産等[土地、建物、設備等]、ⅱ再取得に必要な財産[将来の建替に必要な費用等]、ⅲ必要な運転資金[年間事業活動支出の3月分])。社会福祉充実計画には、社会福祉充実残額、既存事業の充実または新規事業の規模および内容、事業区域、計画の実施期間、資金計画等を記載し、地域協議会への意見聴取(地域公益事業を行う場合)、公認会計士・税理士等への意見聴取、理事会・評議員会の承認を経て、所管庁の承認を受けなければならない。社会福祉充実計画は、原則として5年間の範囲で、毎年度の社会福祉充実財産の全額について、1または複数の社会福祉事業を実施するための内容とする。ただし、5年間で計画を終了することが困難であることにつき合理的な理由がある場合には、その理由を計画上に明記したうえで計画期間を最長10年間まで延長することができる。所轄庁の承認を受けた法人は、社会福祉充実計画に従い事業を行わなければならない。また、社会福祉充実計画を変更する場合および、やむをえない事由により事業を行うことが困難であるときは、あらかじめ所轄庁の承認を受けなければならない。
(石田晴美)