社会手当

 社会保険と公的扶助の中間的な形態をもつ制度のため、社会保険のように拠出(社会保険料を支払うこと)がなく低所得者を排除せず、公的扶助のように資力調査をしないことからスティグマ(恥辱)も生じない。しかし実際には多くの場合、ゆるやかな所得調査(所得制限)を伴って給付が行われる所得補償制度もある。また、財源が公費または事業主負担であることから受給者の負担がない。日本の社会手当には、「児童手当」、「児童扶養手当」、「特別児童扶養手当」、「障害児福祉手当」、「特別障害者手当」がある。「児童手当」は、国内に住所を有する中学校終了前までの児童を家庭で養育している父母等や、児童が施設に入所している場合は施設の設置者等に支給されるが、支給にあたって所得制限がある。「児童扶養手当」は、母子家庭や父子家庭に支給される。親の所得や養育する児童の人数により支給額が異なる。「特別児童扶養手当」は、20歳未満で精神または身体に障害のある児童を家庭で養育している父母等に支給されるが、所得制限がある。「障害児福祉手当」は20歳未満の重度障害児本人に対して支給される。特別児童扶養手当と障害児福祉手当は併給(同一の者に複数の給付が併せて支給されること)できる。「特別障害者手当」は、精神または身体に著しく重度の障害を有する者に支給される。
(吉田初恵)