社会医療法人

 医療法42の2Ⅰに掲げる要件に該当するものとして、政令で定めるところにより都道府県知事の認定を受けたものをいう。自治体病院等における、医師の偏在、長年の高コスト体質による医療基盤崩壊の危機などを背景に、赤字体質が慢性化していた自治体病院等に代わって、医療法人が地域医療の主役となれるように、平成19(2007)年施行の第5次医療法改正において新設された。社団医療法人でも財団医療法人でも認定の対象となる。厚生労働省の調べによると、平成30(2018)年3月末時点において医療法人総数53,944のうち、社会医療法人数は291、全体の約0.5%となっている。社会医療法人は医療提供体制に関して都道府県や市町村、公的病院の機能を代替するものとして、公的医療機関とならぶ5事業(①救急医療、②災害医療、③へき地医療、④周産期医療、⑤小児医療[小児救急医療を含む])を担う主体として、また、国・都道府県・市町村とならび「地域医療支援病院」の開設主体として位置づけられている。社会医療法人は公益法人等に該当し、収益事業から生じた所得に対してのみ法人税が課税される。すなわち、社会医療法人に認定されると、病院、診療所および介護老人保健施設から生じる非収益事業、本来業務である医療保険業について法人税が非課税になる。加えて、直接救急医療等確保事業に供する資産については、固定資産税および都市計画税が非課税になるなど、税制上の優遇措置を受けることができる。なお、本来業務である医療保険業以外については、法人税率は軽減税率となる19%が適用される。
(梅田勝利)