シ・プレ原則

 「可及的近似(as near as possible)」を意味する古フランス語に由来する。この原則は、寄贈が遺言あるいは信託(通常、公益目的あるいは教育目的でなされる。)によってなされたとき、その指定された受益者が存続していなかったり、すでに解散していたり、あるいは寄贈の目的とされた活動がもはや実施されなかったとすると、遺産(もしくはその管理)や受託者は、当初の寄贈目的にもっとも近似した目的をもつ団体に寄贈を実施しなければならないというものである。英米においては、「当事者の意思を証書の文書どおりに実現することが不可能または違法である場合、当事者の意思を可能な限り実現できるように、その証書を解釈する。」というエクイティ上の原則を指す。日本においては、旧民法第72条第2項の残余財産の帰属において、「定款又は寄附行為で権利の帰属すべき者を指定せず、又はその者を指定する方法を定めなかったときは、理事は、主務官庁の許可を得て、その法人の目的に類似する目的のために、その財産を処分することができる。ただし、社団法人にあっては、総会の決議を経なければならない。」、同第3項に「前2項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。」と規定され、その原則が旧民法を引き継いだ公益認定法の残余財産の規定や整備法の公益目的支出計画に反映されている。
(小川光夫)