支払備金(漁業協同組合)

 共済事業を行う漁業協同組合・水産加工業協同組合および共済水産業協同組合連合会が、毎事業年度末において、共済金等で共済契約に基づいて支払義務が発生し、共済金等の支出としていない場合に積み立てなければならないものである(水協法15の11Ⅰ、96Ⅰ、100の8Ⅰ)。対象には、共済事業実施組合等がまだ支払事由の発生の報告を受けていないが、共済契約に規定する支払事由がすでに発生したと認められる共済金等も含まれる(水協法施行規則60)。毎事業年度末において、支払備金として積み立てなければならないものは、①共済契約に基づいて支払義務が発生した共済金等のうち、当該共済事業実施組合が毎事業年度末において、まだ支出として計上していないものがある場合は、当該支払のために必要な金額(当該支払義務に係る訴訟が係属しているものを含む。[水協法施行規則61Ⅰ①])、②支払事由の発生の報告を受けていないが共済契約に規定する支払事由がすでに発生したと認める共済金等について、その支払いのために必要なものとして農林水産大臣が定める金額である。ただし、②については、共済事業実施組合の業務または財産の状況等に照らし、やむをえないと認められる事情がある場合には、一定の期間をかぎり、共済規程に規定する方法により計算した金額を支払備金として積み立てることができる(水協法施行規則61Ⅰ②、61Ⅱ)。なお、共済契約を再保険に付した場合、保険会社等に再保険を付した部分に相当する支払備金を積み立てないことができる(水協法施行規則61Ⅲ)。この場合には、当該相当金額を貸借対照表で注記しなければならない(水協法施行規則142Ⅲ②ハ⑴)。
(田口安克)