シニアボランティア

 シニア世代のボランティアは、それまでに培ってきた経験や専門的技量を活かして組織に貢献することが期待されている。一方、シニアボランティアの側からいえば、自らの能力を経済的満足ではなくて社会のために貢献するという自らの生きがいに繋がることが誘因となっている。専門的技能を活かしたプロボノといわれるボランティアだけでなく、一般事務や定型的な仕事に貢献するボランティアも活用されている。日本のODAで運営されているJICAでみるならば、実務15年以上の職務経験があり、語学能力や健康基準に合格するシニアボランティアを募集し世界に派遣している。交通費、派遣諸費用、また一定の生活費が支給され、自らの貢献が評価され新鮮な経験ができる機会として応募者も多い。ボランティアは原則無償であり、生活の経済的基盤は他に確保しておかなければならない。無償だからといって勝手気ままは許されない。仕事の範囲や勤務は組織との話し合いによって自由度が大きいが、非営利組織のミッションに貢献することが基本であり、取り決めた職務や条件に沿って組織の一員として働くことを自覚しなければならない。そのよろこびは、自分も共有するミッションの実現に貢献できること、その成果への達成感、仲間との交流などである。非営利組織側でも、感謝を忘れず貢献の成果をフィードバックすることに留意するべきである。
(島田 恒)