質に基づく支払い

P4P:Pay for performance
 アメリカのIHA(Integrated HealthcareAssociation)によると、医師、病院、その他、ヘルスケアに関連するものに対して行った行為について、決められている評価指標で評価をし、その結果に対して、金銭的なインセンティブまたはペナルティを与える方式である。1985年にアメリカの民間医療保険会社であるPioneers US Healthcare、1993年にHealthPartnersがP4Pとみなせる制度を導入したのがP4Pの最初とされる。その後、2003年にアメリカの公的保険であるメディケア(高齢者を対象とした医療保険)とメディケイド(低所得者を対象とした医療保険)を統括するCMS(Centersfor Medicare and Medicaid Services)が導入されたことで急速に広まった。P4Pは、イギリス、オーストラリア、カナダ、デンマーク、ドイツ、イスラエル、ニュージーランド、台湾、韓国などでも導入された。医療の民間保険領域から出発したP4Pは、公的な医療保険へと広がり、さらにアメリカを中心としてナーシングホームなどの介護領域にまで広がっている。日本では、平成20(2008)年より、P4Pとみなせる方式を、回復期リハビリテーション病棟の診療報酬に導入した。アメリカのP4Pの評価領域は、導入初期から2000年代前半まではプライマリケア医や専門医など医師個人へのインセンティブが中心であった。平成19(2007)年以降は病院全体の医療提供システムへと拡大し、予防的なプログラムから、急性期プログラム、慢性期プログラムにまで範囲を広げていった。評価の中身は、安全性、効率性、患者の満足度、医療情報技術などである。P4Pは診療行為や看護ケアなどの医療提供プロセスや治療成績や患者の満足度などのアウトカムを評価対象としている。P4Pは、「金銭的インセンティブにより、人や組織の行動を変化させて医療の質を高める」という経済学的な理論に基づいて開発されたものである。P4Pの導入が医療の質の向上に繋がったとする報告もあるが、改善に繋がったとみなせる明確なエビデンスは十分にえられていないという報告もある。
(井上祐介)