施設費(国立大学法人)

 国または独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が国立大学法人および大学共同利用機関法人(国立大学法人)に対して固定資産取得のために交付する補助金である。国立大学法人等の個別申請に基づき国の採択の決定が行われ、個別施設の建設等に使途を特定して交付される。施設費は、国立大学法人等の財産的基礎として国から支出される資金であり、その収入は、原則として、法人の損益に関係する取引ではなく、資本取引に区分される。施設費を受領したときは、いったん、受け入れた金額に相当する額を預り施設費として流動負債に計上するが、固定資産を取得したときは、取得原価に相当する額を預り施設費から資本剰余金に振り替える。施設費により取得した償却資産の減価償却部分は、通常、運営費交付金やその他の収益によって充当することは予定されていない。減価に対応すべき収益の獲得が予定されていないものとして特定された資産(特定資産)の減価償却部分は、損益計算上の費用には計上せず、直接、資本剰余金を減額して処理する。この際、有形固定資産に関する減価償却の仕訳は
(借)損益外減価償却累計額 ×××
  (貸)減価償却累計額     ×××
である。減価償却累計額が固定資産の控除(マイナス)項目であるのに対して、損益外減価償却累計額は資本剰余金の控除項目となる。特定資産の減価は、損益計算の範囲から除かれるが、他方、国民の負担に帰せられるコストであることから、減価が発生した年度の業務実施コスト計算書に損益外減価償却相当額として表示される。施設費により固定資産を取得する場合で、工事が長期にわたる等の理由から、前払金を支払って建設仮勘定に計上するときは、すでに受領した施設費のうち建設仮勘定に相当する金額を預り施設費から建設仮勘定見返施設費に振り替える。その後、現実に施設等の引渡しを受けたときに、建設仮勘定を固定資産に振り替えるとともに、建設仮勘定見返施設費を資本剰余金に振り替える処理を行う。
(大貫 一)