なお正味財産であるから現実にはマイナスの場合もありうる。その場合は金額のマイナス表示はできないから、「資産の総額金0円(債務超過額金○○円)」と書くことになっている。資産総額の変更登記も登記事項には変わりはないので、懈怠すると過料が課せられる。特定非営利活動法人も従前はこの組合等登記令により資産総額の変更登記を行わなければならなかったが、平成28(2016)年の特活法改正により、貸借対照表の公告を行うことによってこの資産総額の変更登記は不要となった。貸借対照表の公告は、官報や日刊紙に掲載する方法のほか、法人のホームページや内閣府NPO法人ポータルサイトを利用する電子公告や、主たる事務所の掲示板に掲示する方法も認められている。平成20(2008)年の公益法人制度改革以降の一般社団・財団法人、公益社団・財団法人などの公益法人には、この資産総額の変更登記の制度はない。一般社団・財団法人や公益社団・財団法人は、一般法人法において登記事項が定められており、また貸借対照表の公告などの情報公開制度も定められているので、併せて登記において資産総額を公示する意味がないためである。
(岩永清滋)