資金収支計算書(学校法人)

 学校法人会計基準において作成が求められる計算書類(学校法人)の1つで学校法人の諸活動に対応するすべての収入および支出の内容、ならびに支払資金(現金預金)の収入および支出の顚末を明らかにするために作成される。資金収支計算書の作成にあたっては、資金収支の内訳を示す資金収支内訳表および人件費支出内訳表と資金収支計算書の決算額活動区分ごとに分類して活動ごとの資金の流れを明らかにする活動区分資金収支計算書を併せて作成しなければならない。また、収入と支出について科目ごとに予算の額と決算の額およびその差異の金額を対比して表示する。そのため、法人全体で受け入れた補助金の状況や予算統制による受託責任の履行の状況および短期的な法人の支払い能力についての情報を示すことになる。資金収支計算書における資金の範囲は現金およびいつでも引き出すことができる預貯金とされているが、資金調整勘定である前期末前受金と期末未収入金を収入の部の控除科目として、収入の部に記載し、前期末前払金と期末未払金を支出の部の控除科目として支出の部に記載することで収入の帰属のタイミングと現金の増減のタイミングのずれが調整されている。資金収支内訳表は、資金収支計算書に記載される収入および支出で諸活動に対応するものの決算の額を学校法人、各学校、研究所、各病院および農場、演習林等の施設ごとに区分して記載する。その際に、2つ以上の学部を置く大学にあっては学部が、短期大学の場合には学科が、高等学校においては課程を単位として内訳の記載が行われる。すなわち、資金収支内訳表は資金収支計算書における資金収支の変動原因を部門ごとに示した明細表であるといえる。人件費支出内訳表は資金収支計算書に記載される人件費支出の決算の額の内訳を資金収支内訳表における部門ごとに区分して記載する。学校法人会計基準の第3号様式で示されたひな型によれば、さらに教員人件費と職員人件費に大別しそれぞれを本務と兼務に区分し、本務の教職員については、本俸、期末手当、その他の手当、所定福利費等に区分する。さらに役員報酬と教員、職員、役員ごとの退職金支出を計算して人件費の総額を示す。すなわち、人件費支出内訳表は人件費支出を部門ごとに職域と支給原因に基づいて示した明細表として資金収支計算書の情報を補足する役割を果たす。
(古市雄一朗)