事業分量配当等

 農業協同組合、漁業協同組合、生活協同組合、商工組合など協同組合等が、組合員の事業の利用分量または従事分量に応じて分配する剰余金のことである。このような分配金を事業分量配当等という。この利用分量または従事分量に応じる分配は形式的には資本等取引に該当することになるが、これらの分配金の性格は、協同組合等の性格からして組合員との取引の価格修正またはそれに準ずるものであると考えられる。①利用分量分配金とは、その組合員・その構成員に対しその者が当該事業年度中に取り扱った物の数量、価額その他その協同組合等の事業を利用した分量に応じて分配する金額であり、従事分量分配金とは、その組合員・その構成員に対しその者が当該事業年度中にその協同組合等の事業に従事した程度に応じて分配する金額である。事業分量配当等は利益処分案に計上し、通常総会の承認を受ける必要がある。
利益処分案の記載例(N年3月期)
 Ⅰ.当期未処分剰余金
   当期純利益      ××× 円
   前期繰越剰余金    ×××
 Ⅱ.剰余金処分額
   利益準備金      ××× 円
   出資配当金      ×××
   事業分量配当     ×××
 Ⅲ.次期繰越剰余金    ××× 円
 なお、事業分量配当に係る会計仕訳は、N+1年度で行う。
 法人税法上は、協同組合等が行う事業分量配当等については、その確定時に損金算入することが認められる(法人税法60の2)。事業分量配当等を受け取った法人、団体等は協同組合等の総会で承認決議があった日を含む事業年度において、仕入割戻し(仕入のマイナス)として処理し、益金に算入する。個人の場合は、承認決議のあった年分の所得金額に加算する。
(遠島敏行)