事業評価

 非営利組織の事業活動は、事業計画を策定する際に設定された事業目的を達成できたかどうかによって評価(事業評価)される。一般に組織の活動は、投入資源であるインプットを効率的に活用して、できるかぎり多くの財やサービス(アウトプット)を生み出すという行為を繰り返すことによって維持されている。非営利組織において事業活動の効率性を追求することと、組織目的や事業目的を達成することは別であるが、効率性をまったく無視していては非営利組織を存続させることができない。従って、事業評価にあたっては、事業活動の効率性をある程度確保しつつ、最終的には事業目的の達成度(事業目的を達成しているか否か)として判断される。事業活動の効率性は、投入資源であるインプットとアウトプットとの比率によって捉えられる。インプットは原材料、設備、非営利組織の従事者が提供する作業、労力、能力、エネルギーなどの投入資源であるが、これらのなかには物量的に測定できないものもあるため、包括的にはコストという経費支出額に頼ることになる。アウトプットは資源投入によって産み出された財やサービスであるが、サービス活動においてはインプットとアウトプットを明確に区別することが難しいケースもある。インプットの貨幣数値と対応させるとすれば会計的には財務的成果(収入)として示される。つぎに、事業目的の達成度(事業目的を達成しているか否か)は、有効性という評価の領域において、アウトプットと事業目的との対比によって判断される。事業目的と照らし合わせて、アウトプットであるサービスそのものの良しあしを判断するいわば価値判断の問題である。営利組織では、利益目的という経済的指標があるので、利益が多ければ良い、利益が少なければ(あるいは損失が出ていれば)悪いという有効性評価が容易にできるが、非営利組織では利益を獲得することが第1の目的とはならない。利益が出ていても事業目的を達成できていないこともあれば、利益が出ていなくても事業目的を達成していることも考えられる。非営利組織の事業評価では利益尺度が使えないので、アウトプット(サービス)を文書で詳細に記述して事業目的と対比させつつ、事業目的の達成度を評価していかなければならない。
(梅津亮子)