事業損益(医療法人)

 医療法人会計基準(平成28年厚生労働省令95号)18、19によると、損益計算書は、事業損益計算、経常損益および純損益計算に区分される。さらに、事業損益計算は、本来業務事業損益、附帯業務事業損益、収益業務事業損益に区分され、それぞれの事業活動から生じる収益および費用を記載して各事業損益を示し、併せて全事業損益が示される。本来業務事業損益とは、病院、診療所または介護老人保健施設に係る事業損益であり、附帯事業損益とは、医療法42に基づいて定款または寄附行為の規定により実施している附帯業務に係る事業損益である。そして、収益業務事業損益とは、医療法42の2に基づいて定款または寄附行為の規定により実施している収益業務に係る事業損益である。なお、附帯業務または収益業務を実施していない場合には、当該区分は省略されることとなる(運用指針[平成28年4月20日医政発0420第5号]16)。このように事業損益を3区分する意義は、法令で求められている附帯業務および収益業務の運営が本来業務の支障となっているか否かの判断に役立つ点にある。よって、施設等の会計基準では事業外損益と区分される帰属が明確な付随的な収益または費用についても、事業損益として計上されることなる。なお、資金調達および資金運用に係る費用と収益は、事業損益には含められない(運用指針18)。
(井上定子)