事業税(地方税法)

 法人および個人が行う事業に対して課される税である。その課税の基礎にあるのは、事業が、事業活動を行うにあたって地方公共団体の各種の行政サービスを受益し、公共施設などを利用することが多いという点に注目して、それに応じた負担をすべきであるという考え方に基づいている。法人事業税には、付加価値額、資本金等の額、所得または収入金額によりそれぞれを課税標準として法人の行う事業に対して課する付加価値割額、資本割額、所得割額または収入割額の事業税がある(地法税法72、72の2Ⅰ)。法人事業税の納税義務者は、原則として、普通法人、公益法人等、人格のない社団等の事業を行うすべての法人であり、事務所等が所在する都道府県に納税する(同法72の2)。ただし、つぎの場合には、法人事業税が非課税とされる。(1)国および都道府県等が行う事業(同法72の4Ⅰ)。(2)林業、鉱物の採掘事業(同法72の4Ⅱ)および特定の農事組合法人が行う農業(同法72の4Ⅲ)。(3)人格のない社団等の事業の所得で収益事業以外のもの(同法72の5Ⅱ)。(4)つぎに掲げる法人の事業の所得または収入金額で収益事業以外のもの(同法72の5Ⅰ)、①法人税法別表第2(公益法人等の表)に規定する独立行政法人、②日本赤十字社、社会医療法人、公益社団・財団法人、非営利型法人に該当する一般社団・財団法人、社会福祉法人、更正保護法人、宗教法人、学校法人および私立学校法人、職業訓練法人ならびに中央職業能力開発協会および都道府県職業能力開発協会等、③弁護士会および日本弁護士連合会、日本弁理士会、日本公認会計士協会等、④法人である労働組合等、⑤特定非営利活動法人(NPO法人)、⑥その他。
 なお、法人税法上の非営利型法人に該当しない一般社団・財団法人が行う事業については全部の所得または収入金額に対して、事業税が課されることになる。法人事業税の課税標準は、事業の区分に応じ、電気供給業、一定のガス供給業、保険業および貿易保険業の事業にあっては各事業年度の収入金額、その他の事業にあっては各事業年度の付加価値額、資本金等の額および所得が課税標準とされる(同法72の12)。ただし、公益法人等の収益事業に係る事業税は、各事業年度の所得が課税標準となる(同法72の2Ⅰロ)、72の12Ⅰハ)。法人事業税の額は、事業および法人の区分に応じ、標準税率または制限税率の範囲内での超過税率を適用して算出した金額となる(同法72の24の7)。なお、法人事業税の付加税として国税としての特別法人事業税がある。
(安田京子)