シーズ

 「認定特活法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会」のことである。日本では長らく、民間の非営利の団体に対する一般的な法制度としては民法34に基づく公益法人制度しか存在せずに、主務官庁制度のもとで、金額については、幅があるもののおおむね社団法人ならば会費収入3,000万円、財団法人ならば基本財産が5億円必要といったことが流布されていた。その結果、市民団体が法人格の取得を目指しても、門前払いに近い扱いがなされていた。そこで平成6(1994)年11月5日に市民活動のための法制度を実現するために設立されたのが、任意団体「市民活動を支える制度をつくる会C’s(シーズ)」である。当時は、NPO(非営利組織)という用語も一般的ではなく、当初の設立趣意書には、「NPO」の用語もなかった。団体設立後まもなく、阪神・淡路大震災が起こり、民間非営利活動の大きなうねりが社会的に認知されるとともに、それらが法人格を有していない状況も一般に知れわたった。こうした状況から、18省庁連絡会議で市民団体に法人格を与える法制度の議論が政府で開始されたことから、シーズは官主導の法制度成立を阻止し、自ら法制度をつくるために、党派を超えて国会議員に直接働きかけ、公開の場で各党と新しい市民団体のための法制度を議論していった。こうした立法過程は日本にかつてなく、小島廣光をはじめ複数の学者が民主主義との関係で立法過程を詳細に分析している。その後、公益法人税制の影響を受けるなどして抜本的な税制改正にも成功し、また、市民レベルでNPO会計基準の制定にも重要な役割を果たした。
(出口正之)