里親制度

 いわゆる社会的養護の1つである里親制度は、児童福祉法の規定に基づき、児童相談所が要保護児童(保護者のない児童や経済的理由・虐待等により保護者に監護させることが適当でない児童)の養育を、生みの親(実親)に代わってやってくれる人に委託する制度のことである。里親制度における里親には、養育里親、専門里親、養子縁組里親、親族里親がある。①養育里親は、養子縁組を目的とせずに要保護児童を預かって養育する里親である。要保護児童とは法的な親子関係はなく、実親が親権者となる。原則として、要保護児童が18歳になるまであるいは実親のもとへ家庭復帰できるまで養育することになる。②専門里親は、虐待された児童や非行等の問題を有する児童および知的障害児等一定の専門的ケアを必要とする児童を養育するための里親である。里親としての養育経験者や児童福祉分野経験者がなる場合が多い。③養子縁組里親は、基本的には特別養子縁組(特に保護を必要としている児童が実子に近い安定した家庭をえるための制度)を前提とした里親である。特別養子縁組では実親との親子関係は消滅し、養親が子の親権者となる。④親族里親は、3親等以内の親族の児童の親が死亡・行方不明等で児童を養育できない場合の里親である。児童の精神的な負担を考慮し、養育里親よりも優先されることが多い。平成28(2016)年の児童福祉法改正では、子どもの家庭養育優先原則が明記され、都道府県が行うべき里親支援業務(フォスタリング業務)が具体的に示された。それを受けて平成29(2017)年に取りまとめられた「新しい社会的養育ビジョン」において、里親委託率の向上に向けて受け皿となる里親を増やすとともに、質の高い里親養育を実現することが求められている。そのため、都道府県知事から一連のフォスタリング業務の包括的な委託を受けた民間フォスタリング機関(里親養育包括支援機関)による包括的な支援体制を構築することが不可欠になっている。
(船越洋之)