財務諸表(独法)

 基本的には、財政状態は貸借対照表において、運営状況は行政コスト計算書と損益計算書によってあらわされる。行政コスト計算書は、行政コストの状況をあらわし、フルコスト情報の提供源となる。損益計算書は、損益の状況を表し、インセンティブを与える仕組みに基づく独立行政法人(独法)の経営努力を反映する利益情報を提供する。さらに、財政状態と運営状況との関係は、ストックとフローを繋ぐ情報として、純資産変動計算書が作成される。また、キャッシュ・フローの状況については、キャッシュ・フロー計算書によってあらわされる。なお、「利益の処分又は損失の処理に関する書類」と「附属明細書」の作成も求められている。 損益計算書は、独立行政法人通則法38における財務諸表として作成が求められるものである。また、独立行政法人通則法44の「利益処分の対象となる利益」を算定する計算書として位置づけるとともに、インセンティブを与える仕組みに基づく独法の経営努力を反映する利益情報として位置づけられている。これに対して、行政コスト計算書は、法人の業務を適正に評価するうえで、行政コストを示すことが必要であることから、法人のアウトプットに対するフルコストを示すとともに、国民負担の算定基礎を示す指標として位置づけられている。法人が社会に対して提供したアウトプットに対して、どれだけのコストがかかっているのかということを評価するためには、法人のインセンティブを反映するための利益ベースの費用ではカバーしきれないということがあり、行政コスト計算書が、法人のアウトプットに対するフルコストという位置づけになっている。行政コスト計算書は、フルコスト情報の提供源であることから、損益計算書における「費用」をはじめ、「独法の損益計算書の役割に照らして費用として扱うべきでない資源消費額」を含む概念として整理されている。この「費用として扱うべきでない資源消費額」の具体例としては、政府からの出資を財源として取得された固定資産に係る減価償却費がある。政府からの出資については、減価に応じた取り崩しがなされないことから、減価償却費相当の資源消費額のみが生じる。この資源消費額は、実質的には、政府からの出資の価値減少をあらわすことに着目して、「会計上の財産的基礎が減少する取引」として扱われる。「会計上の財産的基礎」とは、拠出者の意図や取得資産の内容等に着目して定義するとしており、政府等からの出資のほか、出資と同じく業務を確実に実施するために独法に財源措置されたものとしている。
(鵜川正樹)